創業時からの企業精神であり、世界観、生活技術の上に、不断の共感と激励を与えつづけることを願い、今後の発展の精神的原動力となるべきものとして、以下の5訓を基に、志と気概を継承していきます。

■和 敬 琢 磨 (わきょうたくま)

天地悠久の一瞬に、吾等相寄りて奇遇す。
和敬愛助、切磋琢磨すべし。

天地の悠久な流れの中の、ほんの一瞬ともいえるこの時点に、われわれは、お互いを知りあって不思議なめぐりあいをした。それだけに仲よくし、尊敬しあい、助けあいながら、共に向上することに努めようではないか。

■常 在 乱 世 (じょうざいらんせい)

乱世修羅の巷間に、吾等常に青春を培かい、堂々と奮迅すべし。
覇気、細心、信義を以て貫ぬかん。

仕事をやってゆくこの世間は、絶え間ない興亡や闘いに明け暮れる乱世の姿にも似て、いつも酷(きび)しい動揺の中にある。われわれは敢然としてそれに立ち向かい、その嵐の中にもまれながら若い青春を成長させ、正々堂々と奮起突進してゆこうではないか。それには満々とファイトを燃やし、注意深い思慮と、人を裏切らない信義とをもって貫ぬくべきである。

■野 生 王 心 (やしょうおうしん)

王者高邁(こうまい)の矜持(きんじ)もて、吾等毅然として脾睨(へいげい)すべし。
身は熱情に沸(たぎ)り、野の草に徹して、風雪に撓(たわ)まず。

処世(しょせい)の心がまえとしては、いつも王者のような気高い高尚なプライドを堅持し、われわれは何事においても毅然たる態度でトップに立とうではないか。しかしその生き方は限りない熱情を燃やしつづけ、荒野の中の雑草になりきって、あらゆる困難や風雪に耐えられるたくましいバイタリティーをもつべきである。

■萬 通 一 擢 (ばんつういってき)

時流転変の機微を、吾等深く洞察すべし。
英知萬学に通じ、一技擢(ぬき)んでて創造に励まん。

時代や文化の流れは急速に移り変ってゆく。われわれはその動向のデリケートなポイントを見きわめ、行動の安全性、順応性、展開性等を鋭敏に察知する判断力をもとうではないか。それには、それぞれの英知を生かして、できるだけ多くの知識を積極的に吸収、学問を活用し、そのうちの一つだけでも専門的な面で人よりも秀でて、新しい創造と開拓に励むべきである。

■先 潤 普 徳 (せんじゅんふとく)

人生の喜憂を愉しみ、吾等幸楽の上限を志向すべし。
先づ相倶(あいとも)に潤いてのち、普(あま)ねく徳を他に及ぼさん。

人生には、苦楽哀歓(あいかん)が交々(こもごも)織りなされてゆくが、それらに振りまわされて右往左往してはいけない。むしろそれを愉しみながら、われわれは幸せの上限に至ることを目標としようではないか。そして先づわれわれが豊かになることに精進努力し、つぎに周りから他に及ぼしてゆき、最後には、広く社会の上に徳を築きあげてゆくことを心得とすべきである。